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遺伝カウンセラーとは・・

こんにちは[emoji:i-1]

桜もすっかり咲いて、もうすっかり春ですね。

我が家のチューリップも、日の当らないベランダでがんばって成長しています[emoji:i-262]

しほです。

さて、私は昨年大学の授業で「ゲノム時代の安全管理」という講義をとっていました。

その中で「遺伝カウンセラー」というものに興味を持つようになりました[emoji:i-189]

がしかし・・・友達や周りの人に「遺伝カウンセラー」と言うと、

「なに?それ」という反応がとっても多かったです。なので、それについて今日は少し書きたいと思います。

講義で習ったことや私なりに本で調べたことですが、みなさんが「遺伝カウンセラー」というものを知る、ちょとしたきっかけになれば嬉しいです[emoji:i-228]

 遺伝カウンセラーとは、医師や看護師などの医療スタッフとともに遺伝カウンセリングを行う専門職のことです。遺伝カウンセリングとは、結婚や出産時に遺伝について心配なことがある場合や、自分や家族が遺伝性の病気をもっていることが分かった時、生まれつきなんらかの障がいをもっていた時などに、相談することができる医療サービスのことです。

 例えば、「一人目のこどもが筋ジストロフィーだった。二人目のこどもが欲しいけれど不安がある」、「いとこ同士で結婚したいが、周囲が反対する」「婚約者の家系に遺伝性の病気を持つ人がいる」など遺伝カウンセリングに訪れる人の相談内容は様々です。このような遺伝に関する難問や不安、また時に誤った知識からくる差別や偏見を、専門的な立場から情報提供により解き、自己決定への支援を行うのが遺伝カウンセラーです。この情報提供には遺伝医学に関する情報だけでなく、保健センターなど行政機関が行っている保健サービスなどの支援に関する情報も含みます。

 遺伝カウンセリングという用語は、1947年にSheldon C.Reedという人類遺伝学者によって提唱されたと言われています。日本では1970年代から、主に医師が中心となって「遺伝相談」という用語で遺伝カウンセリングを提供していたそうです。1950年代にヒトの染色体数が明らかになり、染色体異常症の原因が同定されるようになりました。現在では多くの疾患の分子メカニズムや原因が明らかになり、それに応じた遺伝学的検査が臨床の場で行われるようになってきました。このように遺伝医療に関連する情報は加速度的に増えて複雑になっているため、遺伝医療に関わる医療者は、このように常に増えていく情報を得て理解していかなければならないのです。

 また、遺伝カウンセリングに相談に来た人が納得のいく意思決定ができるようにするためには、ただ疾患や遺伝学的検査などの情報を提供するだけではいけません。意思決定には、情報提供による様々な感情や社会的な側面が影響されるといわれています。そのため、患者の理解を確かめ心理面や感情面に寄り添った情報提供を行い支援する必要があります。このようなきめ細かい支援は、医師だけではできません。そこで専門職としての遺伝カウンセラーが求められるようになってきたのです。

 

 北米では1967年に世界で初めて遺伝カウンセラーを養成する専門の大学院が開設され、現在は北米ではその養成コースは30ヶ所にあります。日本では、1998年から遺伝カウンセラー制度の検討がされ始め、2009年には9大学院にその養成課程があるようになりましたが、遺伝カウンセリングという医療行為が保険診療では認められていません。そのため高度で専門的な医療行為である遺伝カウンセリングは、残念ながら一般への普及や遺伝カウンセラーの雇用が厳しいと考えられています。

 しかし、ゲノム医学の発展により将来オーダーメイド医療など遺伝子検査が臨床の場で行われる可能性があります。そのような場合、遺伝情報の判定や説明、その後の選択を支援する遺伝カウンセリングは未知の領域です。また、遺伝カウンセラーの活動の場は医療機関だけでなく、教育分野や、遺伝性疾患などを対象とした保健サービスを提供する行政機関、また研究分野や遺伝子診断や治療の分野に進出している遺伝子関連企業なども考えられています。

参考

『遺伝カウンセラー その役割と資格取得に向けて』/千代豪昭,滝澤公子/真興交易㈱医書出版部

『遺伝子診療学(第2版)-遺伝子診断の進歩とゲノム治療の展望‐』/川目裕/日本臨牀

『遺伝カウンセラーとしての専門性と誇りを育てるために何が必要か』/川目裕/日本遺伝カウンセリング学会誌

最後になってしまいましたが、この記事を書くために資料を提供してくださった先生方、本当にありがとうございました。

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